「営業の魔法」
中村 信仁 (著)
営業の手法を学ぶことのみならず、コミュニケーション力を磨くことのできる良書でした。
これを手にすれば必ず成功するという営業の魔法には、他の業種や暮らしの中に於いても充分活用できる内容のものばかりでした。
例えば、テレビの情報番組を観ていた時です。
ある地方で開催されている催し物についてレポートするコーナーがありました。
レポーターがある家族をつかまえて、一緒にいた小学3・4年生位のお子さんに
「どんなところが楽しかった?」
なんて、馬鹿な質問をする場面がありました。
(結構よくあります。)
この様な光景を見る度に、
「これじゃ、大人だって答えるのは難しいよね」
と思うのです。
結局、返事に困った子供は、頭の中でうまく纏めることが出来ずに、思わず、
「おもしろかったことが、おもしろかったです」
なんて、おかしなことを言ってします。
それに対してレポーターが、
「はい、子供たちもみんな楽しんでいるようです。」
なんてことを言って、スタジオに返してレポートが終わりました。
これじゃ、現場の詳しい内容や、楽しさがまったく伝わりません。
こんな時、レポーターが二者択一話法を活用すれば、もっと上手なレポートが出来るだろうにと思いました。
これは一例にすぎませんが、本書の中で取り上げている営業の手法の中には、営業以外にも活用できることが幾つも書かれています。
営業の手法は、対人間に係わるすべての場面で応用できるということです。
つまり、営業とは人間力に他ならないのです。
先ほどのレポーターの例もそうですが、会社の同僚や友達、ご近所の奥さん方や親類関係に於いても、自分の意見をうまく伝えること、相手の考えをくまなく聞き取ることは、人間関係には必要不可欠なことであります。
普段の暮らしの中で起こるさまざまなトラブルなどについても、そのほとんどが対人間に係わることです。
人間力を磨くことは、円満な人間関係を築いて、自分自身はもちろん、相手にとっても幸せな生活を送るための礎となります。
これらのことを踏まえると、本書は単なる営業の手法を学ぶだけのものではありません。
豊かな生活を送るための指南書なんです。
普段のコミュニケーションの中で積極的に実践してみる価値があるのだと思いました。